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トキノエの糸巻茜によるおまけイラスト
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イラストSS
●安寧
雪がみたい──。
始まりは病葉 樒のそんな言葉からだっただろうか。
「全く……」
だと言うのに。
やれやれと言った様子で縁側でもたれかかってくる樒を支えていたのはトキノエ(p3p009181)だった。
「雪が見たかったんじゃなかったのかー? しょうがない奴だな……」
そう苦笑しながらもそこまで嫌がってないところを見れば二人の仲はいい事が伺える。それはまるで我儘な妹の面倒を見ている兄のようで。
「蜜柑も食べかけじゃねーか。ったく……」
流石に食べ物を落としたら勿体ないと思ったトキノエは、彼女が食べかけていた蜜柑を傍にあった皿の方へそっと避難させる。
「っと、雪が降ってきたか」
このまま寝かせてやりたいが流石に冷えて来る。彼女はこう見えても非常に身体が弱い、治療中と言う事もありトキノエはそろそろ室内へ入る事も考える。
だったら、生きて俺に逢いに来いよ。生きる覚悟を決めてよ……そうすればお前、少しは生き残る目も出て来るんじゃねぇか──。
まさかそんな言葉が彼女の救いなんかになるとは思わなかったが。
それでも彼女がこうしてあの土地から離れ、こうして生きる為に治療を受けている事を思えば自分にも与えられたものがあったのかと思える。
どうか先が短いままでも、せめてその生涯が幸せである事を願うばかりだ。
※SS担当者:月熾