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ヴェルグリーズの橘知怜によるおまけイラスト
イラストSS
●Happiness is all around you. Just notice it and be thankful that you noticed it.
幸福とは、意外にも身近にある事に人は中々気づけないものである。
例えば、何処かの世界から訪れた旅人が齎した『サンタクロース』の存在を、信じていた子供時代であれば――小さな奇跡の秘話を守ってくれた家族の存在。其れ丈でも随分な幸せだったのであろう。
何時から『役割』に気付いてしまったり、信じなくなったかは定かでは無いけれど――……なんて大人に成った今、記憶を揺り起こし乍ら、心地の良い眠気に包まれてうつらうつらと戀人の腕の中で眠りに就くありふれた幸せに、ほんの少しのスパイスをあなたが求めるなら。
彼は応えてくれるだろう。
こん、こん。
窓が叩かれる音で浮上し始めた意識で身じろぎすれば、冷たいシーツが其処にあった。
こん、こん、こん。
慌てて跳ね起きれば、窓の外にヴェルグリーズは居て。フードの付いた紅いケープに、上気した頬。照れ臭そうな眸で亦、窓の鍵を指で示し、『開けて』と脣で象った。
『こんな寒いのに』『何をして』、と慌てふためくあなたを彼は可笑しそうに、愛おしそうに見遣り小さなギフト・ボックスを差し出して『吃驚したかい?』と。
「朝起きた時に枕元に置いてあるってのも考えたけれど……此れを受け取って貰えるかな」
『良い返事を待ってる』と添えられれば、中身の想像なんてつくもの。
『サンタクロースと王子様が一緒に来た気分よ』と半ば崩れ落ちる様にして、震える手でプレゼントを受け取れば。
「其の場合、馴鹿と白馬、何方に乗っているのかな」
だなんて揶揄う様にきゃらきゃらと笑ったのだ。
※SS担当者:しらね葵