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炎堂 焔のサナセオキレによるおまけイラスト
イラストSS
●A real girl isn’t perfect and a perfect girl isn’t real.
ふわふわしたものって、『おんなのこ』の特権だ。
自分は、人でなしである。そう、少なくともヴァイオレットは自認していた。十八歳と云う若さで其の境地に至ったからこそ、可愛い少女ぶるだなんて『何を今更』と。
「そうそう、これシャイネンナハトのプレゼントだから着てね!」
焔とのほんの少し強引だったけれど、気兼ねない友人との女子会にはとんだ伏兵が潜んでいたもので、気乗りしない乍らも袖を通した可愛らしいルーム・ウェアは肌触りが抜群で、着心地は良くても、何となく居心地の悪い思いをしているのが申し訳なくなって溜息を漏らし額を伏す。
色違いの同じものを纏った焔は大層可愛らしくて、自分なんかとは大違いである、と目に映った。
そんなヴァイオレットの中に渦巻く苦悩を識ってか識らずか――恐らく前者であろう――焔は、そんな彼女の思惑に怒り出すでもなく、咀嚼していたザクザクとした食感のジンジャークッキーをゆっくりと時間を掛けて嚥下すると、『うん。うんうん!』と満足気に彼女に笑ってみせたのだ。
そうやって悩む様は、非常に人間らしくて、勇気と妥協の間で揺れる年頃の女の子に見えたものだから。
「うんうん! やっぱりヴァイオレットちゃん可愛いよ!」
「そう、でしょうか。ワタクシには些か分不相応はないかと」
「そんなコトないって! あっ、そうだ!せっかくだから一緒に写真とか撮ろうよ!
ほらほら、もっと近くに寄って!」
「うう……」
「はいはい、撮るよー、えいっ!」
aPhoneに写った自分の頬は紅潮していて、色んな感情を綯い交ぜにした複雑そうな表情をして縮こっていたから、『ワタクシはこんな貌をするのか』と認識を新たにしつつ――
「一寸、焔様……流石に其れは消して頂けませんか?」
「えー、厭だよ! 良いじゃん良いじゃん、可愛いんだからっ!」
「勘弁して下さいませ、ううう……!!」
※SS担当者:しらね葵