PandoraPartyProject

イラスト詳細

来年は絶対やらない(やる)

作者 樹下じゅげ
人物 佐藤 美咲
普久原・ほむら
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2022(→おまけイラスト)(サイズアップ)
納品日 2022年12月24日

3  

イラストSS

「ちょ、ちょっとまって下さい入稿十七時までって詰んでます、あと四時間て」
「特急で朝八時までいけまス」
 ここは死線だ。
 ネームは切っている。それだけが救いだ。
 デスクトップに向かう美咲の後ろで、ほむらはノートPCを開いてペンタブのペンを握る。
 使わなくなって久しいそれは第三世代の旧式だが、ドローイングソフトもドライバも未練がましくインストールしてあったのだ。
「クラウドにあげたっスから、送ったURLにアクセスお願いしまス」
「はい、これレイヤー構造、1ページ目と全部同じってことでいいですよね」
「当然そのつもりでス」
「じゃあ4ページ目からペン入れしていきますので、頭と後ろからお願いします」
 刻一刻、時間が過ぎていく。
「お腹空きましたね」
「そっスね」
「牛丼屋、近いですよね……」
 時に誘惑に負け。
「仮眠したほうが効率あがるかもっス」
「……ですね」
 更に誘惑に負け。
「ここ白いです」
「すぐネーム切りまス」
 突然の白紙あり。
「あっ!!!!」
 時に誤って上書きし――

 ちびちび飲んでいた栄養ドリンクが遂に尽きた。
 辺りを見渡せば、昨日の昼から開けっぱなしだったカーテンの向こうから、日の光が差してくる。
 集中が切れ、ふいに小鳥のさえずりまで聞こえてきたではないか。
 完全にまずい。

 ――けれど諦めなかった。
   諦めることなんて出来なかった。

「あーーー!!」

 ――終わった。

 ――人生が………………ではない。原稿が。

 ついに脱稿の時。

「あと七分です」
「入稿っス!」

 戦いは終わり、戦士達がその場に倒れ伏す。
 なのに眠れないのは、どうしたことだ。
 眼も痛いのに、眠いのに、考えることすら出来ないのに、妙に目が冴えているのだ。

 つまり――もう酒しか勝たん!

 ※SS担当者:pipi

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