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グリーフ・ロスのあやひによるシングルピンナップクリスマス2022
グリーフ・ロスのあやひによるシングルピンナップクリスマス2022
イラストSS
赤いアネモネをもって灰色の花園へ向かったのは何時の事だっただろうか。
はかない恋、恋の苦しみ、薄れゆく希望、見放された……到底、いい言葉とは言えない花言葉を持つ花だ。けれど、自身の瞳の赤を、グリーフはそう捉えたくなかった。
『けれどワタシの……私の瞳の赤は…』
「――随分、時が経ってしまいましたね」
あの時植えたアネモネは、花園はどうなっただろうか。
それを今のグリーフが知る術はない。ただ、今の彼女が手にしている花はアネモネではなく、青い薔薇であった。
かつては『不可能』という花言葉を持っていた花である。
どれだけ恋焦がれても、決して手に入らぬ花の色。
「知っていますか、今は違う花言葉なのです」
数多の努力が実を結び、鮮やかな青が生まれたから『奇跡』『夢は叶う』と『不可能』から転じた唯一の花である。
「あの日、私は『奇跡』を起こした。そして今ここに自分の脚で立っている」
優しい風がグリーフの紙と薔薇を揺らした。
グリーフは真直ぐに顔を上げた。
「だから、私はこれからも『奇跡』を諦めない。夢はいつか叶うから」
その赤い瞳は、嘗て愛に焦がれた哀しさは宿しておらず、希望に満ちた未来を見据えていた。
※SS担当者:白