イラスト詳細
白薔薇
白薔薇
イラストSS
『白薔薇』
それがこの絵画の名前である。
誰にも名を呼ばれぬ画家が描いたとされるこの絵について、本日は解説していこう。
この絵において、まず中央に佇む美女の眼に目が行くという者が多いだろう。
これは周囲に描かれた薔薇と蔓がフレームの役割を果たし、顔の周りと周囲の明暗をはっきりと描くことで、顔へと視線を誘導しているのである。
では、今度は描かれた美女に焦点を当てていこう。
美女の眉は困った様に下げられているというのに、その蒼玉のような瞳は冷たく真直ぐに此方を射抜く。決して手折られぬという強い意志を持った女性の目である。
この女性の名前はリア・クォーツ。
唯一人の為にだけ咲く、気高く、誇り高き白薔薇の修道女である。
傷一つない白珠の肌に、夜空の様に煌めいた黒い髪。
彼女を護る真白の修道着は、貞淑である筈なのに彼女の肢体を艶めかしく、強調している。
穢れなき白をこの手で暴き、手中に収めたいという欲望、ないしは背徳感を起こさせる見事な構図だ。
しかしその瞳と美しさに惹かれ、花盗人が手を伸ばせば最後。
きっと指先から蔓に絡めとられて、拒絶の氷雪の中で永遠の眠りにつくことになるのだろう。
※SS担当者:白