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イラスト詳細

楊枝 茄子子のやむむによるおまけイラスト

作者 やむむ
人物 楊枝 茄子子
シェアキム・R・V・フェネスト
イラスト種別 おまけイラスト(→元発注イラスト
納品日 2022年12月24日

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イラストSS

 シャイネンナハトの夜にフォン・ルーベルグではミサが行なわれている。
 教皇猊下の読み上げる聖句に耳を傾けて茄子子は心地良い声音だと目を伏せた。
 彼の前では『良い子』にしているから、本当はそれ程興味の無い聖句も信じちゃ居ない神様のことだって今は大切に慈しむことが出来る。
 何せ、彼の信仰に間違いは無いと乙女はそう感じているからだ。
 一度、聖句の読み上げが終わりミサが終了した頃にシェアキムは「こちらへ」と茄子子を誘った。
「どうか、されましたか……?」
「やけに聞き入っていたのでな。気に入った言葉でも?」
「私はあまり天義の聖句を聞く機会が無かったので、興味深かったです」
 半分の嘘を交えて茄子子はにこりと微笑んだ。彼にもっと聞かせて欲しいと求めたのは聖句を知るためでは無い、その声を聞くためだ。
 シェアキムの眼前に立ったまま、彼の読み上げる句を耳にする。
 本当に心地良く、彼の声音が胸を躍らせる。何れだけ否定した信仰でも、彼が読み上げれば天上の響きとなるのだ。
(女の子って、本当に救えないよね――)
 神様なんて居ないと思っているけれど。天義の信仰なんてくだらないなんて思って居るけれど。
 彼が言えばなんでも信じ込んでしまえそうになるのだから。
 茄子子はただ、彼の言葉だけを聞いていた。


 *SS担当者:夏あかね

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