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朔の鹿野慈による2人ピンナップクリスマス2022
朔の鹿野慈による2人ピンナップクリスマス2022
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今日はシャイネン・ナハトだ。今頃はきっと、町中賑やかな声で溢れていることだろう。しかし、コルネリアと朔はそんな喧騒とは真逆の場所にいる。
そこは、かつてコルネリアが暮らしていた教会だった。そのすぐ隣にある墓地に、コルネリアとその友人である朔が足を踏み入れていた。二人はある墓の前で止まると、積もった雪を退けて酒瓶を一つ供える。
「…………」
誰もいない教会、人気のない墓地。酒瓶が供えられた墓に眠るのは、コルネリアの義父母である。その墓をじっと見つめるコルネリアの心中は、朔には分からない。彼女は何を考えているのだろうか。今、目の前で眠る義父母のことか、それとも――鉄帝で出会った、あの魔種のことか。
(あぁ、寒ぃな……)
雪は降り止むことを知らないようで、ここに到着してからずっと振り続けている。コルネリアは寒くないだろうか。朔はちらりと隣にいるコルネリアを見る。その表情の意味は分からない。悲しみ? 後悔? それとも、虚ろか。ただ分かることは、特に寒さは気にしていないようだ、ということだけだ。
寒ぃし、早く戻ろうぜ。という言葉は飲み込んだ。きっと、気が済むまでコルネリアはここから動くことはない。
朔は視線をコルネリアの義父母の墓へと戻すと、時折吹く風に身を強張らせながら白い息を吐いた。
※SS担当者:萩野千鳥