イラストSS

　ちんちろりーん。茶碗にサイコロが転がる音と同時に、威勢のいい声があがる。
「オラ来いッ！　来いッ！　ッシャオラーーーー見たかオラーーー！」
　両手の拳を握り、魔種をぶん殴った時より凶悪な顔して天に向けて振り上げるのはそう、革命派でもはや知らぬ者のいないほど活躍を重ねるシラスであった。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛！？」
　一方で両手で地面をどんばん叩きながらワンチャンサイコロが転がりなおしてくれねーかなと叫び散らすのが
こちらもまた革命派でもはや知らぬ者のいないほど活躍を重ねる司祭ヴァレーリヤ。
　革命派の未来を左右する英雄たちが、お椀にサイコロを転がすだけの健全な遊び（歪曲した表現）に興じていた。
　彼らの脇にコインが積み上がり、ヴァレーリヤ脇のコインをしらすが『オラァ！』て言いながらぶんどってるのはきっと遊びとは関係の無い動作である。きっとね。
「見てなさいな、シラス！　ここから大逆転して、パンツ一枚にして差し上げますわ！」
　そんなシラスに威勢良く吠えるヴァレーリヤ。その一方で、アミナは両手を合わせてほっこり笑みを作っていた。
「ふふ、負けてしまいました。世の中にはこんな楽しい遊びもあるんですね！」
「オラもっかいだ！」
　シラスがサイコロをつまみ上げた、その時。
「随分楽しそうなことをしているな悪ガキ共――」
　後ろで、声がした。
　ハッとして振り返る三人。
「ここがどこか分かってるか……？」
　振り返ると、鬼がいた。
　いや、鬼の形相のヴァルフォロメイがいた。
　震え上がる三人を、彼の影が覆う……！

　※SS担当：黒筆墨汁