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クリスマスアフタヌーンティー2022
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超一流ホテルのクリスマス限定のアフタヌーンティー。
その金額は庶民からすれば目が飛びてて何処かへ行ってしまいそうな程である。
そんなとってもお高いホテルのアフタヌーンティー会場は、クリスマスツリーのオーナメントが会場の灯りを反射して宝石のようにキラキラと輝いていた。
その一角、真っ白なティーセットが並べられたテーブルにファニアスは居た。
今日は紫と白のミステリアスな大人のお嬢様コーディネイトである。その隣には蒼紅の衣装に身を包んだ執事が二人控えていた。
蒼い方はセス。以前ファニアスに衣装をコーディネイトしてもらった対価として、お茶会がしたいと言っていたファニアスを連れてきた張本人である。
「ふふ、ファニアス殿が楽しそうで何よりですな!」
そして紅い方はヴェルミリオである。人間の頭蓋骨にマ―コールの角が生えた世にも奇妙な骨格だが、眼窩の中の赤い光は柔らかい笑みを浮かべており、この場を純粋にな楽しんでいた。ヴェルミリオは以前の依頼と同じく、三人でシャイネンナハトを過ごせたこと。またこのアフタヌーンティーに来られたことが嬉しかったらしく、セスが給仕に回るならぜひ自分もと深紅のコートに身を包んだ。
「このケーキ前にも食べた事があるけどやっぱり美味しいね! でも今日は二人が一緒だからもーっと美味しいね!」
「それは良かったですなぁ! ファニアス殿が楽しそうでスケさんも嬉しいですぞ! 此方のケーキも如何ですかな」
「わぁ! いただきます♪」
ケーキを一切れ口に運んだファニアスがヴェルミリオとセスに機嫌よく話しかける。その姿を見て、ヴェルミリオは新しいケーキをスタンドから取ってやった。
二人の仕草や会話を見て不思議に思ったセスが問いかける。
「ふむ、その食事というのは人数で味が変わるのですか?」
セスは喉元にあるコアと発音機器の所為で飲食ができない。もっとも本人が『食』というものに興味が無かったため、それを辛いと思ったことは無かった。
だが、ファニアスとヴェルミリオの会話や表情を見て気になったのだ。
セスの問いにファニアスは頷いた。
「そうだよ! みんなで食べるとお食事はもーっと美味しくなるんだよ☆」
「左様でございますぞセス殿! スケさんもみんなで食べるお食事の方が楽しくて美味しく感じますぞ!」
「成程……興味深いですね」
二人の笑顔を見て、初めてセスは自身が飲食できない身を少しだけ恨んだ。
※SS担当者:白