イラスト詳細
おもち焼けたよ!
おもち焼けたよ!
イラストSS
●聖夜とモチ
「聖夜だから餅を焼くよ!
会長ストーブごと担いできたもんね!!!」
楊枝 茄子子という女は恐ろしいまでの無軌道だ。
先が読めない、読みにくいという意味では変人奇人揃いのローレットの中でも有数で、微笑ましいのだかそうでもないのだか分からん有り余るその行動力には多くの人間が右往左往と困ったり、時に指を差して笑っていたりもする。
「……モチ、でごぜーますか」
「モチだよ!!!」
そんな茄子子のターゲットが世界中噂の鉄面皮、てこでもその美貌を動かさないざんげに向いたとするならば、これは面白おかしい大事故不可避である。
「会長はさー、やっぱ聖夜にはモチだと思うんだよ。
モチ美味しいじゃん。好きでしょ、モチ」
「モチは伸びるでごぜーますね」
「そうなんだよ! 伸びるんだよ!」
噛み合っているようで噛み合っていないお互いの会話だが、この二人の場合どちらも相手の話を聞いていないので問題は無い。否、厳密に言うならざんげの方は『聞いている』のだが察するのも噛み砕くのも世界一の下手くそである。
「もうすぐ焼けるよ! 会長はのりとしょうゆにするけどざんげくんはどうする? しょうゆ?」
「……うーん、私もしょうゆで」
「お、分かるクチか!」
珍しく戻って来た比較的ウェットな反応に茄子子はにひひと笑いを浮かべた。ざんげは磯部が好きらしい。だって、書いてる人が好きだから――