イラストSS

　それは聖夜のゆめまぼろし。絢爛豪華な美しき竜宮城で、お客はあまい歓待を受けにやってくる。
　過剰なサービスもなければ、お客様の行きすぎたスキンシップもご法度。大人同士の上手な遊びかたが出来る者だけが、彼女の歓待を受けられる。
「こんばんは、お客様。まずは一杯」
　シャンパングラスに注がれるのは、ひと口含んだだけで溺れてしまいそうな誘惑の味。それでもやめられないのは、竜宮嬢アルテミアが間違いなく自分の目の前に居ることを確かめたいから。
　だって今宵は素敵なシャイネンナハト、夢に溺れたくなるのは仕方のないこと。
　愛らしくも惑わそうとする兎の娘は、魅力的な肢体を惜しげもなくあなたに見せる。彼女が差し出したのは、ラッピングされたちいさな小箱。
　あなたに贈るプレゼントに、きっとどんな言葉も要らない。青と金のふたいろの微笑が、その全てを物語っているから。
「さぁ、夜は始まったばかりでしょう？」
　ほんのりと青みを帯びた銀の髪は、少しずつやわらかな紅色へと染まっている。そのきよらかなひと房に触れられるのは、今はあなただけ。
　聖夜の兎と共に、竜宮城で夢を泳いでいられるのは、あなただけ。

　――どうか、聖夜のひとときをめいっぱい楽しんで。

　※SS担当者：遅咲