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イラスト詳細

シャーラッシュ=ホーの糸巻茜によるおまけイラスト

作者 糸巻茜
人物 シャーラッシュ=ホー
イラスト種別 おまけイラスト(→元発注イラスト
納品日 2022年12月24日

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イラストSS

 今日は楽しいシャイネンナハト。素敵な飾りつけがなされた部屋で、おいしいケーキやご馳走をたくさん食べて、聖夜を祝う歌なんて歌ってみたりして。
 希望ヶ浜に在る、静かな三人の暮らすマンションでも、それは変わらない。さすがに歌わないとしても、こども達の好む食事を用意して、シャーラッシュ=ホーは食卓に座る。
「美味しいですか」
「うん」
 父に尋ねられ、兄が返事をかえし、妹はこくりと頷く。会話の殆どない、カチャカチャとナイフとフォークの動く音だけがする食事風景は、三人にとって当たり前のものだった。
「ケーキはブッシュドノエル……というものを選びました。こちらの外来語で切り株を意味するそうですよ」
「ケーキ、あまい?」
 第三者には娘と紹介している少女、ヨグが口を開く。ええ、と男が肯定すれば、普段から抱きしめているぬいぐるみに、よかったね、と声をかける。
「この子にも食べてもらうのですか?」
「ううん。わたしが食べてもおいしいのか、心配していたから」
 淡々と語るヨグの隣で、息子ということになっているアッシュがぱちりと窓に視線を遣る。
「雪が降ってる」
 はらはらと地上へ降り落ちようとする白雪の姿を、少年がじぃっと見つめている様子に、男は静かに笑みを浮かべる。
「気になりますか」
「……プレゼント、ちゃんと届けに来られるか、すこし心配になった」
 兄の言葉に反応したのか、ヨグもそちらを見つめる。よく似たふたつの双眸が、男にはどことなくそわそわとしているように思えた。
「問題ありません。彼の人は我々の想像をゆく方法で、世界中を飛び回るそうですから。この程度の雪はさしたる障害ではないでしょう」
 父の告げた言葉に、そう、とアッシュは答える。妹も、黙って食事を再開する。

 そうして、その晩。
 他の部屋と同じく生活感の無いその一室で、兄妹はダブルベッドで静かに寝息を立てている。まるで男のベッドは元から存在しないかのように、シャーラッシュ=ホーは椅子に座って腕組みを。
 ふたりの眠る枕元には、愛らしいラッピングのされたプレゼントがふたつ。
 ヨグには、かわいいあの子のために新しいお友達を。封を開ければ、その子は宇宙的恐怖神話の猟犬によく似ている。
 アッシュには、水彩色鉛筆が百本以上詰まった本格的な画材セットを。きっと、最初の一枚は男の似顔絵を描くのだろう。

 数日前、玩具屋で店員を静かに圧倒する黒服の男を見かけた人は、すぐにそれを忘れてしまうだろうけれど。
 兄妹にとって、素敵な贈り物が届けられたのは間違いない。

 ※SS担当者:遅咲

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