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旅の一幕
旅の一幕
イラストSS
旅の一幕、夜も半ばの出来事。
シャイネンナハトの夜を祝福するように、粉雪が炎を受けて仄かに煌めいた。
そういえば、森で獣やモンスターの争う声を聞かなかったのは、今日が争いすらも休戦となる穏やかな日であるからか。
勿論、そんな穏やかな日があることは大切なのだけれど。普段から戦いに身を置いているレオナとしては、どこか寂しいような、もったいないような気持ちになってしまう。
戦いこそが人生ではあるけれど、まさかこんな日にまでそんなことを思ってしまうとは。ふ、と笑みが溢れる。
「尤もそのような日だからこそ、平穏に過ごすこともできるというのは事実。この平和を楽しむも一興か」
まだ旅路は始まったばかり。ぱちぱちと音を立てる焚き火も、舞い踊る雪も、瞬く夜の星も、今この瞬間だけに楽しめる特別なものだから。
銃声に怒号、剣戟鳴り止まぬ戦場へと帰るのは、まだ少し先でも良いのかもしれない。
ふつふつと湧いてきた野菜たっぷりのスープは今晩のディナーのひとつ。それをゆっくりとコップへと移して、そっと口に含む。じんわりと口の中に広がるコンソメの味わいは、末端から冷え切った身体にぬくもりが戻るような気がした。
※SS担当者:染