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悪霊とブラッククリスマス2022
悪霊とブラッククリスマス2022
イラストSS
シャイネンナハト、太陽が完全には沈まない内からイルミネーションを光らせた街。
人々が楽しそうに笑い、この日の為のケーキを大切に抱える日。
その歩道と裏路地の境を、黒服の男が二人、走る。
その内の一人、背の低い方がもう一人に合図して路地を縫い走る。
消音ブーツらしく、二人の足からゴムが地面を擦る音がしなかった。
しかし逃亡者の音は遠い。
にもかかわらず黒ずくめの男たちは確信を持って走っている。
やがて逃亡者を袋小路に誘い込み、足の下へ銃声一発。
「輝かんばかりのこの夜に、争い事はNGだぜ」
「悪い子だなァ、アンタ?」
逃亡者は、この夜に酔い過ぎて女に手出しした。女の父は二人の大事な客であった。
「し、知らなかったんだ。酒に酔ってて……!」
「残念だがなぁ、命乞いの時間は終わったんだよ」
ニタ、赤い眸の方が大きく口を開いて──。
男が最期に聞いた視た光は、己の身から出るぼうっとした明かりだった。
そしてその明かりが見せる黒服の男達は、血に塗れても美しかった。
「ん、ごちそーさま」
「血が鬱陶しい。帰るぞ」
クウハと京司はイルミネーションを避けて帰路を急いだ。
※SS担当者:桜蝶京嵐