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愛してるは嘘になるかしら
愛してるは嘘になるかしら
イラストSS
シャンデリアが煌めき、音楽隊によるワルツで人々は踊る。幻想各地の食材が丁寧に盛り付けられ、ワインで人々の頬や肩が紅潮している。
幻想で行われるパーティにイーリンはいた。華やかなフリルが何重にもあしらわれたすみれ色と桜色のドレスに身を包んでいた。十全の状態であれば輝く紫の髪や紅い目も会場の光をいっそう反射し輝いていた。
そのイーリンをエスコートする男性──いや女性だ。黒の燕尾服に身を包みネクタイをかっちりと締めている。凛とした顔つきは男性かと見まごうが……ココロはそこにいた。
「それでは一曲──お師匠様、いえ、イーリン。私と」
「私に?」
男装したココロがイーリンの手を取り、手袋越しに口付ける。ココロの目が真っ直ぐ伝えて来る。
──貴方でなければ嫌なのです。
初めてのお酒も貴方に捧げた。ならば初めてのリードも。
お師匠様! なんて子犬のように慕うココロはいない。背筋を伸ばしティーンエンジャーだった頃の面影を感じさせない。
戸惑うイーリンだったが師匠として、いや、今はイーリンとして身を委ねよう。
「エスコートよろしくね」
「はい、もちろん」
イーリンのその姿はまるで年齢通りの少女のように。王子に手を引かれながら。
※SS担当者:7号