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深道 明煌のひゅのによるシングルピンナップクリスマス2022
深道 明煌のひゅのによるシングルピンナップクリスマス2022
イラストSS
賑やかな燈堂家のクリスマス。
皆笑顔で、楽しそうでとても眩しかった。
黒曜は酒を勧めてくるし、白銀はご飯を食べろと出してくるし、牡丹は気さくに話しかけてくる。
廻も安心した表情で酒を飲んではしゃいでいた。
暁月の周りはいつもこんな風に明るくて騒がしいのだろう。
二ノ社に出れば呪物達は煩かったけれど、それでも本殿は常に静かだった。
だから余計に気になってしまうのだろう。
「暁月、ごめん……ちょっと外行ってくる」
「おや……、寒いから気を付けてね」
手を振った暁月も久々に廻と会えて酒が進んでいる。
楽しんでいる彼らと一緒に居ると、楽しめていない自分は場違いに思えてきて空しくなった。
外に出れば冷たい空気が肺を満たす。
此方の方が今の自分の感情と同期しているようで安心した。
明るい場所は似合わないのだ。
けれど、同時に暁月が眩しい場所で楽しげに笑っていて良かったと安堵する。
自分と同じ泥沼の闇の中に居るわけじゃない。
それが、嬉しいのだ。
だから、暁月が何の憂いも無く、心から笑えるようにしたい。
その為なら先生の計画にも乗ると決めた。
どんな犠牲を払っても暁月の為ならと。
けれど、それが揺らいでいる自分が居る事も分かっていた。
自己嫌悪なぞいくらしてもしたりない。
本当に、嫌になる。
「寒い……」
自分にはこの寒さを分かち合う人も居ないのだ。
※SS担当:もみじ