PandoraPartyProject

イラスト詳細

久遠の森を眺めながら

作者 二条
人物 フラーゴラ・トラモント
百合草 瑠々
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2022(→おまけイラスト)(サイズアップ)
納品日 2022年12月24日

3  

イラストSS

 シャイネン・ナハト――この混沌世界で戦いが禁じられる日。それはきっとあの国でもそうだろう。ならば、会えるのではないか――フラーゴラはある場所へと歩を進める。歩の先は晦冥に包まれた常世穢国。そのまま歩み続ければ、魔種となった偲雪の側に、反転せず居続ける瑠々の元へと辿り着いた。
「何の用だ」
「今日はシャイネン・ナハトだから会いに来た。……それだけじゃ、理由にならない?」
「――少しの間だけだ」
 瑠々はそう言うと、屋敷の中へと案内する。瑠々は久遠の森が見える縁側へと腰を掛けると、少し間を開けてフラーゴラも座る。いつの間にか用意されたお茶を飲みながら、互いに視線が交ることなく、ただ降る雪を眺めていた。
 対立しているのが嘘であるかのように、ただただ静かで何もない。ここには、武器もなければ争いの声もない。平穏、平和、安寧――どの言葉も、今ならしっくりくる。
「偲雪さんが願ったのは、こういう『穏やかな日』なのかもしれない」
「……そうかもな」
「毎日がこうだったらいいのに」
「そうなるさ。――いつか、な」
 ぽつり、とフラーゴラが言葉を溢す。その言葉に瑠々も頷く。その言葉は、きっと二人とも本心だ。
 雪はしんしんと降る。世界から音を消し去りながら、降る。
 二人は何も言わずに、ただ束の間の平穏を静かに過ごした。時間が許す限り、共に。

 ※SS担当者:萩野千鳥

挿絵情報

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