イラストSS

　――ステンドグラスの輝きの下、ギルオスとハリエットは在る。
　ハリエットが想起するは、ギルオスさんの過去、だ。
　……聞いた。召喚前、喪った大切な存在。
　手袋の下……手の甲に残る痕。
　それを生きた証とするには、何とも――
「ねぇギルオスさん」
「……うん？」
「あのね。ギルオスさんが許してくれるなら、だけどね。私は、ずっと」
　傍にいるよ。
　零れるような微かな声だけど、しかし確かに。
　伝えようか。手袋に対し、頬を擦るようにしながら。
　……聞いたあと、沢山、考えたんだ。
　窮地に陥っても諦めず。どうしても駄目なときは――

　一緒に死のう。

　そうなってもいい。その覚悟は出来ている。
　傷痕は消えないし、心の傷も、きっと簡単には癒やされない。
「ギルオスさんが穏やかに笑う毎日のために、頑張るから」
「……あぁ。でも、覚えておいてくれ。僕は最善が好きだ」
「うん、私もだよ」
　過去を包み込むなんて、大それたことは言えない。
　私にできるのは、毎日を楽しく過ごすためのお手伝いくらいだけど。
　だけど――決めたんだ。

　祈るように。誓うように。
　二人の影が――其処に在る。
　これは『祈りと誓い』