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イラスト詳細

祝音・猫乃見・来探の風輔によるおまけイラスト

作者 風輔
人物 祝音・猫乃見・来探
イラスト種別 おまけイラスト(→元発注イラスト
納品日 2022年12月24日

1  

イラストSS

●この日常を、今はこのまま
 あたたかい家の中には、聖夜を祝うための準備が行き渡っていた。
 誰もがみな、少しずつ浮かれているような空気。
 今日はシャイネン・ナハトだということを、この猫たちは知っているのだろうか。
 暖炉でまどろんでいた猫が、気まぐれに伸びをして起き上がる。きらびやかなツリーにぶら下がっている飾りを前足でつつきはじめた。
「こら」
 伊都羽が猫をつかまえると、「?」と、猫はぐんにゃりと身を預ける。
「まったく……。……」
 本当ならば顔を埋めてすうと吸ってやりたいが、人目があるためそれはできない。或葉 伊都羽。誰よりも自分が自分に一番厳しい女性だ。
「ケーキ。これ、みんなで……だよね?」
 まん丸いケーキを前に、祝音は目を輝かせている。
「ああ。だが、ケーキだけじゃないぞ。プレゼントも用意したんだ」
 祝音は金の瞳を輝かせて包みを持ち上げる。
「よかったな、坊主。開けてみたらどうだ?」
 膝の上に乗った猫が、せかすようにリボンをひっぱりはじめた。銀路の声に背を押され、祝音は、待っててね、と、するするとリボンをほどいていく。
 伊都羽はいつくしむように見ていた。
(やっぱり、祝音の、味方、……なのか?)
 伊都羽の表情には、嘘があるようには思えない。けれどもどこか愁いを帯びても見えた。
 何か、隠していることがあるのではないか?
 銀路の勘はそう言っている。
 ただのイレギュラーズにしては、そぐわない戦闘能力を持っている。
 祝音の消えた「おじ」を名乗る男と入れ違いになるようにやってきた伊都羽。
 果たして、関係があるのか?
……祝音は大切な存在だった。祝音を守りたい。
『祝音・猫乃見・来探』の仮名をつけたのは銀路なのだ。
「……ありがとう。とてもうれしいな」
 祝音の喜びに答えるように、にゃあ、と横切った猫を、伊都羽と銀路は思わず目で追っていた。
 同じように猫を見ていた視線がかちあって、思わず空気が緩む。
「ふ……」
「どうしたの?」
 この均衡は、いずれ崩れるのかもしれない。
 伊都羽には……なにか隠し事があるのかもしれない。
 けれども、きっと、今はまだ。シャイネン・ナハトの祝福とともに……、ただ、あたたかい光景があるだけだ。
(祝音……お前に何があろうと、俺は力になりたい)
 いつも力になってもらってばかりだけれど、そう思うのだ。

 ※SS担当者:布川

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