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聖夜のコソ泥、逃走劇!
聖夜のコソ泥、逃走劇!
イラストSS
シャイネン・ナハト。その聖なる夜に泥棒を働く不届き者がここにいた。
「にひひー。クリスマスパーティ? ならプレゼントを貰わないとねー」
メイドに扮して悪徳商人の屋敷に忍び込むはロウサ・ロージングレイヴ。警備の手薄な屋敷から金目のものを袋にギッシリ詰め込んで、後は逃げるだけ。
「らくしょーらくしょー……ってやばっ」
「居たぞー! 絶対に逃がすなー!」
何でばれたのか分からないけれど、今はとにかく逃げるのみ。メイド服を脱ぎ捨て、大きな荷物を抱えて――ってこの荷物のせいでばれたのか!
ロウサの逃走劇はそれはそれは大変なものとなりました。
あっちに逃げれば憲兵にぶつかり、こっちに逃げれば猛犬が襲いかかる。
右へ左へ、とにかく逃げる。
「もー早く諦めてよー」
気づけばそこは貧民街。大騒ぎする追っ手が早く諦めてくれる事を祈りながら、とにかく逃げる。
それはいつからだろう。奪ったお宝が入った袋が破けていて……貧民街にバラバラと零れていく。
逃げるのに必死なロウサは気づくことないまま、とにかく走った。
そうして聖なる夜も明けようという時刻。ようやく逃げ切ったロウサは、一つもお宝が入ってない袋を眺めてしょんぼり項垂れるのだった。
奇蹟の夜のちょっとした騒動は、後日、貧民のサンタクロースとして語られるようになるのだが……それはまた別のお話。