イラスト詳細
あなたの為の、輝くモノガタリ
あなたの為の、輝くモノガタリ
イラストSS
ぱちぱちと暖炉にくべた薪が音をたてる。レンガ造りの家屋を優しく温めている暖炉の炎は暖かい明かりを薄暗い部屋に灯す。
そのすぐ前で、金の髪を暖炉の明かりできらめかせる少女の前には魔法使い。シャイネン・ナハトの魔法は魔法使いの三日月のような笑顔を今日だけは優しくさせる。
「お姫様への貢物だよ」
魔法使いが金の青薔薇姫に献上するのは、瞳と同じいろの水色の手袋。
「父様、素敵」
青薔薇姫は微笑む。ああ、この笑顔こそがやすらぎ。自らの力を分け与えた愛しい愛しい眷属。時が過ぎれば、自分はこの青薔薇姫においていかれるのだろう。この癒やしは長い長い生命のたった一時のもの。そんなことは分かっている。この先彼女を見送るのは自分だ。彼女を眷属にしたことを後悔したことはあるだろうか? いいや、そんなことは一度たりとてない。だからこの時間を愛おしむ。
「父様。私からのプレゼントはこれよ。喜んでいただけると嬉しいのだけど」
青薔薇姫は魔法使いに下賜する。色とりどりの薔薇水晶を閉じ込めたその宝物を。
「とても素敵だねぇ」
大好きでしかたない父様が笑顔をみせてくれる。ああ、わたしはまた一つ彼を幸せにすることができたと嬉しくなる。私の身も心も、そして存在すらあなたのためのもの。だから私は貴方を喜ばせたい。そんな想いは真っ直ぐに魔法使いに届く。
少女は願う。シャイネン・ナハトの夜に。この薔薇の永遠がいつまでも続くように。
挿絵情報
- 公認設定『『父様』』