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クリスマス2017
クリスマス2017
イラストSS
シャイネン・ナハト。
奇蹟の夜に、街はどこも輝きを放っている。
その日暮らしを続けるメルトがその街に寄ったのは偶然だった。
クリスマス一色の街を歩きながら、煌びやかに着飾る街を見て廻る。
そんな街の中央に、一際輝きを放つクリスマスツリーがあった。
――綺麗だと思った。
一際大きなモミの木は、色とりどりの飾り付けをされ、この奇蹟の夜を祝福する。
きっと街の人々の願いや想いが込められているのだろうと、メルトは感じた。
その木の天辺に、なによりも輝く星が備え付けられていた。
星は見上げる人々を睥睨するように、燦然と輝く。
満天の星々すら霞んでしまうような、そんな輝きをもつ星。
(嗚呼……きっと)
――あの星には手が届かない。
その日暮らしを続け、そういう生き方しかできず、けれどそれを幸福だと思っているメルトは、沢山の人々の願いや想いをその身に宿し、天上へと届かんと輝くあの星は眩しすぎるのだと感じた。
それを悔しいと思う事はない。あの星に手を届かせるような人は、きっと自分とは違うのだ。それに憧れたり、そうなろうとは思わなかった。
「……寝る場所探そ」
星に別れを告げて、今日の寝床を求め往く。
奇蹟の夜でも、メルトの生き様が変わる事はないのだ――。