イラストSS

「お疲れー！」
「おう、お疲れ」
　仕事終わりの帰り道。サンタクロースの衣装に身を包んだまま、ヒィロとリオネルは労い合う。
「ボク達のシャイネン・ナハト、大成功だね！」
「ガキ共も喜んでたしな！」
　いえい、とハイタッチ。子供達の笑顔はまだ目に焼き付いていた。尻尾を揺らしてヒィロが笑い、リオネルも愉快気に喉を鳴らす。そのまま二人並んで帰路に就く。話題は勿論、今日の仕事。
　やれ、生意気そうだっただの、やれ、可愛かっただの。一人一人の顔を思い浮かべながら、あーだこーだ。決まって最後にはプレゼントを貰った後の笑顔に触れて、
「傑作だったな！」
「だよね！」
　と笑う。
　穏やかな時間。けれど不意に、ヒィロが視線を遠くに投げる。
「プレゼントかあ……」
　呟きは小さく。けれど、リオネルが聞き逃す程の物でもない。
「ほらよ」
　驚くヒィロに差し出されたプレゼントボックス。それは紛れも無く、
「サンタがプレゼントもらっちゃいけねーって法はないよな？」
　震える肩をリオネルは見守り。
「何でもっと早くくれなかったの！？」
「タイミングってもんが有んだろ分かれよ！？」
　言って、けれどヒィロは頬を緩める。「へへ」と小さく笑みを零した。プレゼントを頭の上に掲げ、踊る様にくるくると。きらきらと輝く瞳は、子供達と相違ない。
「ねえ」
「ん？」
「プレゼント、ありがとね！」
　華やぐように、ヒィロが笑う。
　リオネルにとっては、それが一番のプレゼントだった。