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冬葵 D 悠凪の幣原による2人ピンナップ(横)クリスマス2017
冬葵 D 悠凪の幣原による2人ピンナップ(横)クリスマス2017
イラストSS
「折角のシャイネン・ナハトですから。何処かに遊びに参りましょう?」
シャイネン・ナハト。輝かしい夜の名の如く、日の暮れたメフ・メフィートの通りは未だ、散りばめられたイルミネーションで輝いている。舞い落ちる雪でさえ、光を受けて輝いているようにも。星ひとつ見えぬ夜が、けれども地上とのコントラストで尚の事輝かしい。
そんな光溢れる街中を、冬葵とリジア。精一杯のおめかしをして歩いていた。
「……何故だ。シャイネン・ナハトは遊びに行く理由には……待て、引っ張るな」
にこやかに手を引く冬葵に、リジアは戸惑いを隠せない。どうしても、二つの項目が結び付かなかった。特別な日だ。分かる。遊びに行く。分かる。特別な日だから遊びに行く。ちょっと、分からない。
否、否、理由など無いのだ。笑顔の冬葵に打算は無い。ただただ純然に、特別な“楽しい”を共有したいだけ。祈りではない。願いではない。余りにもありふれて、けれど大切な人の手の温もり――
理屈は分からずとも、想いは伝わる。手袋越しの手は、けれども確かに暖かかった。
だから。
「分かったから、遊びに行くから。だから、引っ張らないでくれ」
折れる。理屈じゃない。理解出来ない。そういうものが、リジアの中にも。
答えを受けて、ぱっと冬葵の笑顔が華やいだ。腕を引く力が増す。力強く引き摺られながら、冬葵の笑顔を見たリジアが小さく呟く。
「冬の夜に咲く花も、有るんだな」