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イラスト詳細

アレフのたぢまよしかづによる2人ピンナップ(横)クリスマス2017

作者 たぢまよしかづ
人物 アレフ
アリシス・シーアルジア
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2017(サイズアップ)
納品日 2018年02月13日

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イラストSS

 窓を透く陽が怜悧な冬の空気を裂き、礼拝堂に光を降らす。微細な粒子が光を散らし、宝石を散りばめたように辺り一面を輝かせていた。風景を切り取ればそのまま絵画として飾れそうな、そんな幻想的な風景の中。アレフとアリシスは、歌を奏でていた。
 口元に僅かに浮かぶのは、微笑だ。心よりの歓びを、しかしアレフは言葉ではなく、指先で表す事を選んだ。流れるように指を滑らせ、鍵盤を叩き、音を奏でる。口元に現れたのは、それでも尚余りある感情が零れ落ちたまでの事。意図せずして浮かべられた表情は、即ちそれが紛れも無い本心から来るものである証左だった。
 対するアリシスも、輝くような笑顔だ。目を刺すような強い日差しではない。春の朝焼けの様な、眩しくも優しく、大地を暖めるような。歌唱の技法として笑顔を浮かべている訳では無い。これも、疑いようも無く、心よりの歓びだ。
 言葉は無い。視線を交わす事も。こうして音を奏でる以前に、特別な何かが有った訳でも無かった。意思の疎通など図り得る筈も無く……けれど確かに、二人の心は結ばれていた。
 歌は心だ。ヒトがヒトで無かった頃から脈々と続く、意思疎通の為のツール。それは言葉を為し、心の代替とした後も、変わる事無く受け継がれてきた。時に何よりも雄弁に歌は心を語る。きっとこの時も、例外ではない。
 指が旋律を形作り、声と絡まり合って響き渡る。この輝かしい夜の日を、祝福するように。

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