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アーリア・スピリッツのかんが揶揄による2人ピンナップクリスマス2021
アーリア・スピリッツのかんが揶揄による2人ピンナップクリスマス2021
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市井の喧噪は、聖なる夜も変わらずに花開く。
桃色から小麦色、それから葡萄酒の紅へ――アーリアの髪もそろそろ大変なことになっていた。
「このお店、メニューがいいのよねぇ」
エシャロットのピクルスをひとつまみ。頬に手をあて、しばし黙考。お隣のお客は――と、スパイシーな羊肉の串焼きに重めの赤ワインをチョイス。なるほどそう来たか。それなら。
「ワインか、カクテル。ブランデーは早いかしらぁ。聞いてるぅストレリチアちゃん!?」
横目に映る花金の妖精は、ジョッキの『中』で羽ばたいている。
「ぷはっ! たぶん聞いてないけど、これがいいと思うの。ルービーにクラフトジンなの!」
「ドッグスノーズは、なかなかねぇ」
「ストローで一気に吸い込んでやると、『落ち』るの……」
――ぽちゃん。
「あらぁ」
意識と物理の、あんまりなダブルミーニングに、ジョッキがしゅわしゅわと泡だった。
妖精漬けの酒なんて言えば、どこか蜂蜜酒やエリクサーじみて聞こえるが。
いやでも、これは――
ジョッキの水量はどこへ消えるのか、みるみる減り、ストレリチアがまた顔を覗かせる。
「次は……ヒッ!」
「いま聞いちゃいけない声がしたけどぉ?」
「気のせいなの! マティーニをシェリーでウェット目に。オリーブはお皿へふたつぶほしいの!」
まだまだ夜は長そうだ。
*SS担当:pipi