イラストSS

●But in contentment I still feel The need of some imperishable bliss.

　白の館は本の蔵。
　染みひとつ無い壁紙と家具に、やっとの思いで其処が壁なのだと認識する事が適う額縁の中の五千ピースのミルクパズルは概ね正気とは思えず、白樺の鉢植えはなけなしのお祝いムードを演出するのに利用され雪を模した白い綿が飾られていた。

　白の館は本の蔵。
「……それで？」
　壁に追いやられた女は余裕綽々、対する壁に手を突いた少女の方がやや劣勢。せめてもの抵抗で腰に回されようとする腕を後ろ手で抑えたは良いが、其れは片腕を封じられたのと同義であり取り返しのつかない失態である。
「こ、此の日におうちに誘われ、ふたりきり。其の意味位、私でも判っている、ので！」
「おやまあ、ませちゃって。って言っても、だ。登って来てキスでもしてくれるのかい？」
　身長差、凡そ四十cm。流石に其れは余りにも不恰好と云うもの。
「……んんっ！　ヘーゼルさん、煙た……っ！　如何してそんな意地悪、するんですか」

　白の館は本の蔵。
「煙草の煙を貌にかける意味を識りたかったら調べてみると良い、だって此処、本屋だし？」


　※SS担当者：しらね葵