イラストSS

●撮影後
「意外といいじゃん」
「……」
「ローレットにはあんまり『こういうの』出来そうな奴がいねぇからな」
「……………」
「流石、流石。頼んだ甲斐があった」
　馴染みのバーの『左端の席』でアーリアはレオンに差し出された冊子の拍子を眺めながら何とも難しい顔をしていた。
　事の発端は練達での雑誌特集。
　来るシャイネン・ナハトに予行してスペシャルな夜を過ごす為の指南、情報を供する冊子の撮影を頼まれた事だった。
「ローレットは著名だからな。
　セフィロトを救った経緯から、練達でも人気がある。
　困ってたんだが、イメージアップも俺の仕事だからな。どうするかと思ったらオマエが居た」
　カラン、とグラスの氷を鳴らしたレオンが笑う。
「……やっぱりディルクさんじゃなく自分の所に来たから気合入ったんでしょう、これ」
「バレたか」と笑うレオンにアーリアは嘆息した。
　彼女の反応が何とも微妙な理由は簡単だ。
（……これは、少し火力が高いわ！）
　手前味噌で言うなら自分もそうだが……
『あんまりにも似合い過ぎているのだ』。
　プロの技術と、被写体の力で実に強烈な仕上がりだった。
「恨まれるわよ、これ」
　あの子とかこの子とか頼む相手は居たでしょうに、とアーリアが言うが肩を竦めたレオンは「大人向けだもん」と軽くかわした。
「それに……」
「はい？」
「オマエは恨まれるより、お仕置きの方を気にした方がいいんじゃないの？」
「……」
「あ、どうせお仕置きなら折角だし『浮気』もしとく？」
「――レオン君！！！」
　本当にこの男は面白がりで……
　そういえばシャイネン・ナハトって恋人の日扱いもされたりするから、きっと暫く腰痛だなあ！！！