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ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルクの結城ポンタによるシングルピンナップクリスマス2021
ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルクの結城ポンタによるシングルピンナップクリスマス2021
イラストSS
(さて、どれにしましょうかしら)
ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルクは装う。
ミディ―セラの呼吸に合わせて、黒いリボンの巻かれた灰色尻尾が揺れた。金色の大きな瞳が、針のような瞳孔が、射貫くように品を見定めていった。
乱雑に散らばったいくつかのブーツは、何処へでも行くための靴であって、あるいは、ミディーセラの歩みを止めるための枷でもあるだろうか。
選択肢が揺蕩う。
どうするべきか、どうあるべきか、どう望まれているのか――。
ミディ―セラを編み上げた物の一つ一つが、今もなおミディ―セラを形作っている。
気まぐれな彼女たちに尋ねれば、ミディ―セラがどれを選ぶかはピタリと当てて見せるだろうか?
あるいは――。
ミディ―セラは微笑みをたたえて、一組のブーツを手に取った。しつらえたように、それはミディ―セラに良く似合っているものだ。鏡を見るまでもなく、それは、履く前から分かり切っていたことだ。
それは、どこまででもいけそうな、しっかりとした造りの靴だった。
雪が降っている。
外の寒さを思い、ミディ―セラはぷるりと身を震わせる。
(さあ、どこにいきましょうかしら)
どうせなら、行った事のない場所が良いですねぇ、などと思いながら。
※SS担当者:布川