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ラフ
ラフ
イラストSS
●もう『おてんば』じゃいられない
雪で視界が白く濁る。冬の街角は、いつもよりなんだか狭く見えた。
けれど私の探してる蒼は、はっきりと。ぼうっとして服を着るのもわすれちゃって。血に飢える事すら許されない聖夜じゃ、そうなるのも仕方ないよね。
キミの名前を呼んで力一杯に抱きしめる。急いで探して、荒い息を隠す様に。
「ねえ、あったかい?」
驚いたキミが小さな声で呼ぶ私の名前に、頬が緩む。このままずっと、時間の許す限り。
キミには、謝らなくっちゃいけない。
本当は『はじめから』決めてたんだ。私が恋に堕ちるとしたらきっとキミだけだって。
妖精だから、呼び声から救ってくれたから、それとも、キミの心の闇に魅かれちゃったのか、もうわからないけど。
キミの事を遠くから見守って応援したかった。気づかなきゃ、ううん、気づいても。自分が傷つかないように。支えるために強くなって。
けれどそんなキミに近づかれちゃったら、私はもう自分の気持ちに嘘が付けれっこないだろう?
サイズ、私の命の恩人。だから心の中で、私はキミに一つお願いをするんだ。
どうか私にも、キミの穢れと呪いを背負わせて欲しい、この名にキミの業(カルマ)を刻みつけて欲しいって、さ。
冬は嫌だ、何もかもが冷えて、みんなが眠りについちゃうから。
けど、ああ、『キミとなら』って、こんな気持ちなのかな――
※SS担当者:塩魔法使い