イラストSS

「ひとまず、こんなものかしら……！」
　ざくっとシャベルを雪の上に差し、額に滲んだ汗をぬぐうヴァレーリヤ＝ダニーロヴナ＝マヤコフスカヤ（p3p001837）。冷たい空気が今ばかりは気持ち良い。ふぅ、とシャベルに両手をつけて重心を前へと寄せれば、多少ばかりは楽だろうか。
「いやぁ、すごい雪ですね！」
「ええ、本当に。とっても助かりましたわ」
　日車・迅（p3p007500）がシャベルを肩にかついで向こうからやってくる。小さく手を振ったヴァレーリヤはでも、と苦笑を滲ませた。
「折角のシャイネン・ナハトなのに、ごめんなさいね」
「いいえ、これくらい何でもありませんよ！」
　にかりと笑う迅。彼はこの教会に属する者ではなく、たまたま近くに滞在していただけなのだ。しかしお祭りの準備も相まって人不足に陥っていたヴァレーリヤは――そう、なりふり構っていられなかったとも言う。
　過ぎてみれば罪悪感も覚えるもの。しかし気にしないと笑う彼にこれ以上謝罪を繰り返すのは、逆に失礼にあたってしまうだろう。
「それでは……ありがとう、ですわね」
　だから。ヴァレーリヤは心からの感謝を込めて、迅へ微笑んだ。


　※SS担当者：愁