PandoraPartyProject

イラスト詳細

ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤのヤぴによるおまけイラスト

イラストSS

●サケカス・クエスト
「うおおおおおお! 拠点を作りますわ!
 酒税法かかってきやがれですわ!
 禁酒法上等ですわ! ボジョレーの解禁日も知ったこっちゃありませんわ!!!」
 些か不穏かつ良く分からん主張をヴァレーリヤが行うのは比較的日常茶飯事である。
 空中神殿は『多少のバグ』を除けばイレギュラーズだけが立ち入れる特別な場所だ。取り分けローレットのイレギュラーズにとっては利便性が高い事この上ない特別な場所であるのは間違いない。
「ここに酒蔵を隠せば! いつでもお酒を飲めるし、泥棒も入らないから高級酒だって保存できるし、空中神殿からの景色を楽しみながらお酒を飲める! 私達、さては天才なのでは???」
「まぁ、合理的ではあるのであります」
 既に出来上がっているのか赤ら顔のヴァレーリヤがそう言えばエッダは実に冷静にこの『作戦』を評価した。
「でも、問題はざんげちゃんって言えばざんげちゃんよねぇ」
 本来ならば止めねばならない筈のアーリアが。
「楽園を手に入れるには、リスクを背負わなくちゃいけない……何て言うか恋もお酒も同じよねぇ。
 火遊びって言うのかしら、こういうのも」
 ……見事な海老天を二本も備えた天重のアーリアが、天下茶屋丼(ヴァレーリヤ)に交わって赤くなっている。
 酒飲みの業とでも言おうか、酒樽を豪快に運ぶヴァレーリヤにしても、
「ざんげちゃんさんは兎も角、ローレットにバレたら何を言われるか分からない。面倒であります」
 冷静沈着な軍人たるエッダの有様にしても、今日はこのちょっとした素敵な思い付きに囚われて実に楽しそうな様子であった。
「もう少しであります。後少しで搬入が――」
「――何をしてるでごぜーますか?」
 エッダが額の汗を拭ったのと突然、主の声が響いたのはほぼ同時だった。
「あ、あははははは……な、何でもないわよぉ」
 明らかに何時もより著しく駄目なアーリアにざんげのジト目が加速した。元から何を考えているかいまいち分からない無表情気味な彼女は酒泥棒か何かに見える三人の姿をじっと見つめていた。
「……レオンにチクればいいのです?」
「弁護士を! 弁護士を要求しますわ!!!」
「罪状認否に慣れ過ぎなのであります」
『罪状』があるかはさて置いて、ヴァレーリヤは平常運転でエッダはそんな姿に小さく嘆息した。

 ――彼女等の冒険は始まったばかりなのだ!!!

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