イラストSS

　――今日は楽しかったね。

　そんなメッセージを送ってから、夜中に何を送っているんだろうと定は項垂れた。
　クリスマスを満喫した自信はあるが、彼女が喜んでくれたかまでは確信できていない。何時だって楽しそうに笑ってるその表情が本心から来るものかさえ自信を持てないのだ。
　返信を待ちながらベッドに腰掛けて定は「あああ」と唸った。こんな、待ち時間さえ苦しいのだ。

　――楽しかったね。定くん。
　プレゼントありがとう。夢ちゃんにはビックリしたね。

　そんな返信についつい定は唇に笑みを浮かべた。楽しそうに笑って返してくれたのだろうか。
　彼女のそんな様子を思い浮かべただけで笑顔になってしまう。
　帰り道、電車が混んでいて苦労したのだとメッセージを送ってくれたなじみに「お疲れ様」と打ち込んで意を決して可愛いスタンプを送る。
　スタンプを気持ち悪がられないようにと緊張しながら押したことはこの際秘密だ。
　彼女は何も気にせずに楽しそうに――何時もの饒舌さをメッセージアプリでも発揮して――言葉を並べてくれるのだ。

　――メッセージじゃなくてお話しすれば良かったね。おやすみ、定くん。

　そんな、最後の言葉にときめかないなんて男じゃない。
「あああ」ともう一度唸ってから定はおやすみのスタンプを送った。


　＊SS担当：夏あかね