イラストSS

　――シャイネンナハトは、人々が平和を願う日なんですのよ。

　先刻前、ヴァレーリヤが祈りを捧げた時、秋奈は思い出した。
　嗚呼、この人はせーしょくしゃだったな、と。
　そして今、秋奈は思い出した。
　嗚呼、この人は冠位魔酒だったな、と。

「ちょっと秋奈。私がケーキをすごく楽しみにしていたの知っていますわよね？　それを盗み食いするだなんて！」
　美味しい食事とプレゼント交換。そんなささやかな夜は、ケーキと共に穏やかに――終わらなかった。
　真っ赤なヴァレーリヤは、罪を追及せんとメイス（酒瓶）を握り迫りくる。
「にゃんですとうー！？　ちょっ、私ちゃんの知らないところで凶悪事件が発生したのは分かったぜワトソンくん！
　いや流石に私ちゃんも全部食べちゃったわけじゃないしその口にクリームって酒くさぁ！！！」
「……えっ、私の口にクリーム？そんなの関係ありません、言い訳は結構でございますわ！！
　私とっても悲しくてよ、秋奈が人のケーキを盗み食いするだけでなく罪から逃れようとするなんて！」
　さっきまでケーキ美味しいですわ、なんて言ってたじゃん――あっ首絞まって、向こうでみんなが呼んでる～。

　秋奈のSOSは――届くのか。


　※SS担当者：飯酒盃おさけ