イラストSS

●シャイネン・プレゼント！
「……な、何だこれは。何がしたいのだ、この連中は！」
　数多の勇者を跳ね返し、誰をも寄せ付けず。混沌に唯一つ、何処までも傲慢に君臨する伝説の塔――
　Tower of Shupellはこの世界に存在する最大の絶対領域の一つであり、謂わば空中神殿、影の領域と並ぶ神域だったに違いないのに。
「……………非常に不本意だが、これはプレゼントという事なのだろうな？」

　――シュペルお兄さん、これプレゼントです！

「……そも贈り物の習慣なぞ、マリアベルに存在したか？」

　――折角のシャイネン・ナハトですのよ。
　　　是非、受け取って下さいな！

「……………少女が気安く来る場所か、ここは！？」
　ゴリラの存在は言うに及ばず、特殊極まるローレットの連中にとっては何ら気後れしない場所という事なのだろうか。愛らしいキルシェが実に騒々しくプレゼントとやらを抱えて塔を訪れたのはつい先程の事だった。
「おかしい……どうしてこうなった？
　おかしい。天才の小生が理解出来ん……
　そしてこの犬（？）はなんだ？　小生を模しているのか？
　何故小生が畜生に……」
　シュペル犬（？）の描かれたマグカップを手に取り、ぶつぶつと呟くシュペルは実に不本意だった。
　こんなに騒がしかった事は過去に無い。
　ただの一度もない。あの女ですらもう少しは――
「……いや」
　――大して変わらないが、と彼は嘆息した。
　天才は神だから気付いていない。
『大して変わらないなら。
　この時間もどうにも拒絶していない事にすら』。