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現のアタシへ
現のアタシへ
イラストSS
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其処ではない場所、いつか来た場所。
今ではない時、いつかの時。
アタシはきっと此処へ立っていたはず。
銀の柔らかな髪が、ふわりと揺れる。
頬を撫でる風は東雲に染まっているが、柔らかい。
そう思うのは、現実ではないからか。
眼前には、何もない。
遠くに見える街明かりを暫く見つめてから、ジェック(p3x004755)は瞳を閉ざした。閉ざしても黒い視界の端はR.O.Oのウインドウ枠がある。ピコピコ点滅するアイコンは、『姉』がログインした知らせだろう。
けれど。
黒く暗いこの先に、きっと。
――現のアタシへ。
現のアタシが其処に立った時、何を思っていたのだろう。
アタシへのメッセージなんて考えてみたりもしたんじゃない? 違う?
アタシがあの時そうしたように、アタシは其処に立った。
このあわいがアタシとアタシとの境界で、交わり。
今はもう、何もない場所へと手を伸ばす。
閉ざした眸の向こうに、アタシを思い描いて。
今ではない時、いつかの時。
きっと『現のアタシ』はそ此処にいたから。
――ねえ、現のアタシ。
現のアタシは此処にいた?
※SS担当者:壱花