イラストSS

　シャイネンナハトに共に出掛けませんか。
　偶には普通の恋人同士のような待ち合わせをしてみたい。夢見る乙女はファーを飾ったシックなコートに身を包み雪の中で待つ。
　飾られたクリスマスツリーはシャイネンナハトの平穏を祝福するように淡い光を保っていた。
　真紅のドレスも、ロングコートも『あの人』とのデートのために準備をしたものだから。

「何方かを待っていらっしゃるの？」
　慌て振り向けばサングラスをし、茶目っ気の変装をした待ち人の姿がある。
　常の如く咲き誇った美しい蒼薔薇はレジーナの途惑いを見詰めたことを喜ぶように揺らいでいる。
「……貴女をお待ちしておりました。リーゼロッテお嬢様」
「あら、恭しいエスコートですのね」
　悪辣とまで言われた薔薇の乙女はそっとその手を重ねてレジーナを見遣った。
「今日はどちらまで連れて行って下さるの？」
「プランニングはお任せ下さい。お嬢様を楽しませるように、努力致します」
「……期待しておりましてよ？」
　貴女にそうとまで言われたならば張り切らないのは嘘になる。
　手を差し伸べれば慣れたように重ねられた掌。エスコートの為とは言えど緊張しながらレジーナはリーゼロッテの手をぐ、と引いた。


　SS担当：夏あかね