PandoraPartyProject

イラスト詳細

画家にスーツは難しい?!

作者 mu
人物 ベルナルド=ヴァレンティーノ
グレモリー・グレモリー
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2021(サイズアップ)
納品日 2021年12月24日

4  

イラストSS

「ねえ、このネクタイ苦しいよ」
 グレモリーが言う。普段は寝て起きてそのまま、手入れもされない茶色の前髪は後ろに撫でつけられて、其の幼げな顔を惜しげもなく晒していた。
 身にまとうのは豪奢なタキシード。其れは目の前の男――ベルナルドも同じ事。彼もまた前髪を撫でつけ、僅かに下ろして遊びを持たせている。グレモリーがいつの間にか緩めてしまっていたネクタイを締め直しながら、駄目だ、とベルナルドは咎めた。
「画家にはパトロンが必要だ。判ってるだろ?」
「……」
 不満げな沈黙が返って来る。
 グレモリーは絵を描く事は好きだが、絵の為に金を集めるのは面倒がる。ベルナルドはそんな“友人”の事を心配して、こうして画商やコレクターが一堂に会するパーティへと彼を誘ったのだった。
 彼の絵は本物だ。評価されるべきだ。だが、其れには金が必要だ。ベルナルドは其の一面も既に飲み下した後だった。理想論では絵は描けないのだ。
 ベルナルドは手早くネクタイを締め直すと、行こう、と己のアトリエの出口へとグレモリーを誘う。
「しっかり捕まえて来いよ」
「……やだ」
 本当に気乗りでないのだろう。背を丸める意固地なグレモリーの背を、ベルナルドはばしりと叩いてやった。


 ※SS担当者:奇古譚

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