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ほらこれ、エルピスに似てない?
ほらこれ、エルピスに似てない?
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「ほらこれ、エルピスに似てない?」
クリスマスマーケットに行こうとエルピスを手招いたルーキスは露店に並んでいた天使のオーナメントをそっと手に取った。
ぱちりと空色の眸を瞬かせてエルピスはその小さなオーナメントをまじまじと見詰めやる。
小さな翼に、祈る天使。それは神聖さよりもかわいらしさを感じて。つい、手に取りたくなるような代物で。
「わたしに、ですか?」
そんなことを言われたのは初めてだ、と。エルピスは首を捻った。
ましろのつばさ、金色のかみ。かみさまが作ったような色彩だと友人は言っていたことがあるけれど。同じ色彩の髪と眸の彼だって、きっと天使に良く似ているのに。
「これ、買おうかな」
「わたしに、似ているのはすこし、申し訳ないです」
「そんなことは――」
「わたしも、ルーキスさんに、似たものを見付けられれば、いいですね」
それを並べて飾るのだって素敵な気がします。そう告げてエルピスは小さなオーナメントを指先で弾いた。
ちいさいけれど、可愛らしい天使様。似ていると告げてくれた彼が思う天使様にはきっとなれないけれど。
それでも、大切に飾ってくれるのは少し嬉しい。
*SS担当:日下部あやめ