イラストSS

　――秋奈さん、良い度胸ですね？　言いたいことは分かって居るな。

　何とも恐ろしい言葉を吐き捨てたのはひよのパイセンその人であった。何時もならば『ウェーイ！　パーティーだー！』と心置きなく楽しむ秋奈の首根っこをひっつかんだひよのは『去年の仕返し』を込めて大忙しの業務の手伝いへと引き摺り込んだのであった。
　サボっていた自称愛らしい後輩は大好きな先輩と共に『きちん』と巫女のお仕事を（監視されながら）熟すのだ。
　勿論、ちょっとでもサボれば先輩からのお叱りの声が飛んでくる。
「ひよの先輩、寒いっす」
「そうですねえ。年始はもっと寒いですよ」
「暖かいおこたとかー、おみかんとかー」
「境内に置きたいんですか？」
　がくりと肩を下げた秋奈にひよのは「あと少し頑張りましょうね」と秋奈を一瞥もせず励ますのであった。

　だが――ちゃんと頑張った後輩に冷たいばかりの先輩ではない。きちんと詰め所には暖かい炬燵とクリスマスケーキが準備済み。
　ご褒美は『お仕事をちゃんと終えてから』なのだ。勿論、ご褒美がある事はギリギリまで秘密にしていて。


　　＊SS担当：夏あかね