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キミとの思い出を、キミに捧ぐ
キミとの思い出を、キミに捧ぐ
イラストSS
「ホワイティ! ホワイティ! 待った?」
手を振るのは射干玉の髪を揺らがせた少女。可愛らしい桃色のワンピースに身を包んで慌てた様にホワイティへと走り寄る。
そんな姿に涙がにじみそうになった事をぐっと堪えてからホワイティは「シャルロットちゃん」とその名前を呼んだ。
航海(セイラー)で働く友人は『現実では有り得ない』姿と笑顔でホワイティの胸へと飛び込んだ。
「クリスマスマーケットに行くんでしょう? ビスコがお土産が欲しいって」
「うんうん、ビスコちゃんにもお土産を買っていこうねぇ」
何が良いかなあと悩ましげに首を傾いだシャルロットにホワイティは手を差し伸べる。躊躇うこともなく握りしめた指先が少し冷たくて「寒いよね」と微笑みかけた。
「そうね、航海も冷えるものね」
「……うん」
これがもしも、本当にあったことならばどれだけ良かっただろう。
仮想現実の中で、キミが笑っていたことを。キミが話してくれたことを。『帰ったら』話しに行くからね。
キミは其れを聞いたら何と云うだろう。可笑しそうに笑うだろうか――?
*SS担当:夏あかね