PandoraPartyProject

イラスト詳細

おい白夜、隣の台見てみろよ

作者 江里ただし
人物 アルヴィ=ド=ラフス
回言 世界
白夜 希
オライオン
イラスト種別 4人ピンナップクリスマス2020(サイズアップ)
登録されているアルバム
納品日 2020年12月25日

9  

イラストSS


「回言。お金貸して」
「なあオイ白夜、それ一体何回目だ……?」
「俺が数えた限りだと……60回目?」
「えぇ……」

 ――クリスマスの楽しみ方は人それぞれである。それは、例えばこの四人のように。

 アルヴァ、希、世界とオライオン。彼らはシャイネン・ナハトの夜、クリスマスカラーに飾り付けられた再現性東京のゲームセンターでクレーンゲームに興じていた。
 ひたすら望みのぬいぐるみが得られず意地になってクレーンアームを動かし続ける希(小銭破産済み)と、それにゲーム代を貸し続けている世界を見て、アルヴァはくすくすと笑みを零さずにはいられない。
「……店員さん、もう可哀そうな目を向けてるんだけど。今なら言えば一つくらいはもらえると思うよ?」
「いや、せめて一つくらいは自分の力で……」
「それ俺から金借りてる時点で独力じゃないって気づいてるか!?」
 なんかもう財布ごと分捕られそうな危惧感を抱く世界。の傍らから。
「……ん、未だやってたのか?」
 大きめのビニール袋を抱えたオライオンが顔を出す。
 希がクレーンゲームに熱中している姿に触発されて、「ちょっと自分も」と別の筐体に向かっていた彼が戻ってきたのを見て、アルヴァが苦笑交じりに返す。
「まあ、結果は……御覧の通りですけど。
 そう言うオライオンさんはどうでしたか?」
「俺か?」
 そう言ったオライオンが、抱えていた袋の中身を見せる。
 中身は様々な筐体から取ってきたと思しき、多くのプライズが詰め込まれていて。
「……」
「白夜君は……ああ、これか?
 端っこのぬいぐるみなら、アームを使って転がせば手に入るぞ。こんな風に」
「……」
 すぐ横の筐体で『実演』するオライオンの姿に、目には見えないゲージが希に蓄積しているのを、横の二人が幻視する。
「……回言、財布貸し……頂戴」
「ついに色々繕わなくなったなお前!」
 始まる希と世界の財布争奪戦。困惑しながら首を傾げるオライオンと、堪え切れずに噴き出したアルヴァ。

 ――嗚呼、無辜なる混沌に於いて特異なるこの場所でも、彼らが浮かべる表情は他と同じ笑顔であった。


 *SS担当者:田辺正彦GM

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