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Eflogitaria
Eflogitaria
イラストSS
しんしんと、あくまで雪は降り積もる。
シャイネンナハトという特別なときであっても天候はあくまで平等で、ツリーにも、ラクリマの金糸のような髪の上にも同じように白い雪がうっすらと乗っていた。長耳はかすかに赤く、吐息は白い。
静かな、静かな時間だった。祝うべきお祭りの日であるとはいえ、夜も深くなれば人々は家の中での祝日を楽しんだり、催しへと出掛けたりする。そうすればそれ以外の人通りは少なくなり、
しかし彼の関心は其処にはなく。ましてや、雪に対して注がれたものではない。
「……主や――は崇め讚めらる、――の誡を我に悟らせ給え……」
美しいカウンターテナーの声が空間に、夜空に響き渡る。向けられた瞳はあくまで直向きで、真っすぐで。この歌を捧げるのは己が主へと。
そして、思い起こすのは誰かのこと。大切なものが浮かんで消える。
輝かんばかりのこの夜に、清らかで美しいこの夜に。これからも、これまでも。
愛すべき人が幸せで居られますように、と。
――思わずには居られないのだ。どうしても。
*SS担当者:金華鉄仙NM