イラストSS

「わぁ……！　すごいね、お菓子のお家だなんて……！」
　メレスは目を輝かせる。その視線の先にあるのは――透夜の作りし菓子だ。
　只の菓子ではない。家を模したソレは『ヘクセンハウス』と呼ばれるモノ。
　クッキーで形を作り、砂糖をまぶして雪の表現を加えれば立派な形となって。
「もしかして初めて見た？」
「う、うん！　器用なんだね、透夜さんは……！」
「そうかな――と、ほら。あともう少しで完成だよ」
　メレス君もやってみる？　と、屋根の部分へと慎重にクッキーを重ねていく。
　片手にはクリーム袋。周辺もソレにて彩れば、より『らしさ』が増していくものだ。
　深緑出身の幻想種同士の語らい。
　暖かな部屋の中で共に作り上げしは……シャイネン・ナハトの日にピッタリの代物で。
「輝かんばかりのこの夜に、だね……！」
「あぁ。輝かんばかりのこの夜に……とね。さっ、後は紅茶も入れるとしようか」
　さすれば完成。お菓子の家たるヘクセンハウス。
　少し勿体ない気もするが、二人で味わって食べるとしようか。
　家の前には二人を象ったシュガークラフトを添えて。
　穏やかな一夜を――楽しむとしよう。

　輝かんばかりの、この夜に……