イラストSS

　凍てつく星月夜。先程までは雪がちらついていた。
　二人は肩を並べて暖かい湯舟につかる。銀の長い髪を結い上げたコルザは、湯加減にもご満悦でほぅ、と息を吐く。
「どうかね、今宵の湯加減は！　僕としてはなかなかいい具合なのだけれど」
「私もいい具合だと思います。暖かい風呂は良いですね……心まで満たされる」
「その通り！　それに、こんな絶景を二人占めできるなんて、今年はなかなかいいシャイネンナハトになったよ」
　端に煌々と灯る行灯に笑みを浮かべて。ロズウェルに消すように頼み、ロズウェルはその明かりを消す。
　灯る星明かり。炎の灯りはどんどんと息を潜め、ぼんやりと淡く光るだけだ。
「わぁ……」
「自然光のみというのもなかなかいいものだね」
「ですね」
　笑みが零れる。これを幸せと呼ばずして何と呼ぼう。
　じんわりじんわりと熱は身体へと広がり、安らぎをくれる人との温泉で心も身体も癒されていく。
「ああ、そうだ。輝かんばかりのこの夜に！」
「ふふ。輝かんばかりのこの夜に、だね」
　白銀の煌めき、濃紺の空に散った星の輝き。
　美しいこの景色はきっと、ずっと、忘れることはないだろう。


　＊SS担当者：染NM