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イラスト詳細

シャイネン・ナハト2020 黒翼(わたし)から白翼(あなた)へ

作者 Re;9
人物 ガウス・アルキ・メデス
ユリーカ・ユリカ
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2020(サイズアップ)
納品日 2020年12月24日

7  

イラストSS

 ガウス・アルキ・メデス(p3p008655)には二つの顔がある。
 ひとつは命を救われた冒険者に憧れ旅に出た戦士。ギルドマスターに憧れ、強くたくましくあろうと鍛え続ける日々。
 もうひとつは、冒険者の傍らで天才情報屋を目指す少女に一目惚れした少年。彼女の輝きの先を見たいがため、彼女の張り出す依頼書を手に取る日々。
 そんな二面性をもつガウスだが、ある夜だけは素直なひとりの男になれた。

「ユリーカの家は確か……」
 雪の降る夜。黒い翼を広げて飛行する男、ガウス。
 ゴーグル越しに目を細め、並ぶ家々の中から目的のものを探し出すと翼をゆるめてゆっくりと降下をはじめた。
 ホバリングをしながら窓の外。無防備にも開いたカーテンの向こうでは、寝間着姿のユリーカがすやすやと眠っていた。
 胸がどくんと高鳴るのを、ガウスは手を当てることで押さえる。
 気持ちや言葉の代わりに、彼は懐からクリスマスカラーに包装したプレゼントボックスを取り出した。
 窓を開くと、強く風が入る。
 これはいけないと慌てて閉じ、ベッドのそばへ。
 伸ばした手が彼女に触れることはない。
 それがきっと、優しさのはずだから。
 代わりにプレゼントボックスを枕元に置き、何も言わずに部屋を出た。

 翌朝。
「ふああ……あっ?」
 目を覚ましたユリーカ・ユリカ(p3n000003)は枕元に置かれたボックスに気づいた。開いてみるとカランコエとナズナが彫刻された美しい懐中時計。
 添えられた手紙には『よい聖夜を』とだけ。
 一体誰から……と思って振り返ると、そこには一枚。黒い羽根が落ちていた。
 くすりと笑い、胸に抱く。
 きっと言葉は、いらないはずだから。

※担当GM『黒筆墨汁』

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