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津久見・弥恵の傾 千悠によるおまけイラスト
津久見・弥恵の傾 千悠によるおまけイラスト
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輝かんばかりのこの夜に――そんな夜、輝くのは雪や、星や、イルミネーションばかりではなく。或る国の裏路地に、屈強な男が建つ扉が在った。
「……」
「確かに。いらっしゃいませ」
上質なコートに身を包み、目深に帽子を被った紳士が小声で男へと告げたのは「合言葉」。開かれた扉の先に伸びた、地下へと続く階段に歩を進める。そうして重い扉を開けば――そこにはポールが伸びた円形の舞台と、それを囲むように配置された椅子が連なっていた。ボーイに案内され、紳士が座ったのは最前列。庶民では手が届かぬ高い酒を注文し、届いた酒と共に支配人が声をかける。
「今日は特別な夜、咲き乱れる月の華をお見せしましょう」
ほぅ、と満足気に鼻を鳴らし、酒を煽る。一瞬の暗転のちポールにしな垂れかかるは、今宵の舞姫――弥恵。大事な箇所だけを辛うじて煌びやかな装飾で隠した彼女は、流れ出した音楽に合わせポールへと身体を絡ませる。
(こんなの見たいなんて馬鹿なんですかっ……!)
特別な店での公演だと言われ承諾した、けれどこんな衣装なんて聞いていない――!
頬を赤らめ恥じらう弥恵の姿すら、男達は悦んで。
ぎらついて輝く目で、弥恵を見つめ続けていた――
*SS担当者:飯酒盃おさけNM