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イラスト詳細

シフォリィ・シリア・アルテロンドのゆりちかおによるおまけイラスト

作者 ゆりちかお
人物 シフォリィ・シリア・アルテロンド
イラスト種別 おまけイラスト(→元発注イラスト
納品日 2020年12月24日

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イラストSS

 ――これは、既に過去の話。
 ――これは彼女が、シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)がまだ5歳だったころの情景。
 ――年に一度訪れるシャイネンナハトの、その深夜の話。
「シフォリィったら、本当によく寝てるわね」
「ああ、だがそのおかげで気付かれることなくプレゼントを置くことができたじゃねえの」
 娘を起こさないように気を付けながら、枕元に可愛く包装された小さな箱を置くと、静かに言葉を交えながらも娘の可愛らしい寝顔を見守る両親の姿。
「シフォリィは喜んでくれるかしら?」
「そう心配するもんじゃねぇよ『コロ子』。間違いなく喜ぶさ」
「もう、そのあだ名は止めてよね」
 巷では相応に名の知れた傭兵部隊、『虹霓勇者団』を率いていたアルヴィンとその一員であったファムリィの二人だが、この時ばかりはただ子を慈しむ親でしかない。なかった。
「よくお眠り、愛しいシフォリィ」
「朝が来るまで、夜が明けるまでぐっすりとな」
 娘はプレゼントを喜んでくれるだろうか。いや、きっと喜んでくれるに違いない。これは予感ではない、紛れもない確信だ。目覚めた娘は枕元のプレゼントに気付き、心躍らせながら箱を開け、そして大喜びするのだろう。そのまま嬉しさのあまりにはしゃぎ回るだろう。想像に難くないその光景を思い浮かべるだけで自然と笑みがこぼれる。
 よく寝ている娘の流れるような銀の髪をそっと撫でると、二人は音を立てないように気を付けながら部屋から出ていく。扉を閉める前にもう一度、娘の寝顔を目に収めると、扉をひっそりと閉じながら二人同時に、まるでタイミングを合わせたかのようにそっと呟く。
「「メリークリスマス」」
 意図せずとも一致した言葉に、二人はお互いに視線を合わせると、クスクス笑いながら立ち去っていく。
 翌朝、目が覚めたシフォリィが箱を開けると、中に入っていたのはまるで彼女の目のように青いリボン。それを大変気に入った彼女が、10年以上たった今でもなお大切に、大切に身につけているリボン。
 ――これは既に過去の話。彼女が、シフォリィが母親を、そして父親をも失う前の話。
 ――ぐっすりと眠っていた彼女の記憶に残っていたわけではない。だがそれでも、確かにあった幸せな一幕。
 ――まだ彼女が厳しい現実に直面し、それでも心折れずに前を向いて生きていくと決めた、その前の話。


 *SS担当者:外持雨NM

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