PandoraPartyProject

イラスト詳細

Silent Night

作者 傾 千悠
人物 ヨタカ・アストラルノヴァ
イラスト種別 シングルピンナップクリスマス2020(→おまけイラスト)(サイズアップ)
納品日 2020年12月24日

15  

イラストSS


「……流れの演奏家ではなく。私の元で、演奏を生業に生きていく心算は無いか」
 ――シャイネン・ナハトの夜。ヨタカは、最早何度目かもわからぬ誘いに対して苦笑を浮かべる。
 馴染みの幻想貴族から依頼を受けたその日、夜会にて一流の楽団に交じって演奏するヨタカの手腕は、それらの旋律の中に在って一際眩い輝きを放っていて。
「……お気持ちは有難く頂戴します。ですが、申し訳ありません」
 やんわりと、しかし、明確な拒絶。対する幻想貴族の側もため息一つで諦観に至ってしまうほどの。
「……残念だ。君にとって特異運命座標としての使命が、それほどまでに重いとは」
 ヨタカもまた、悲しげな表情でそれに応える。その裏に、彼自身すら知らないもう一つの理由を抱えながら。

 ――かの嘲笑と、侮蔑と、何よりも愛情が。

 記憶にはない『彼』の面影を見つけるため、方々を巡っては音楽を奏でるヨタカに、運命が応える日は、何時か来るのだろうか。
「……それでは、最後にもう一曲を」
 言って、ヨタカが誘いを断った礼に、独奏(ひとり)だけのアンコールを披露する。
 知らず、発動していた彼のギフト。
 夜色の翼という形をしたそれを背にして、ヨタカは数分後に大絶賛を受ける一曲を、緩やかに響かせ始めた。


 *SS担当者:田辺正彦GM

PAGETOPPAGEBOTTOM